HBES-Jとは

1980年代後半以降, 欧米では人間の諸活動——行動や心理, さらには芸術や病理なども含む——を進化的な観点から, 理論的・実証的に研究しようという動きが急速に発展しました. アメリカのHuman Behavior and Evolution Society (HBES) はそのような研究者たちの学際的な組織です. 毎年, 世界各国からの研究者が集まる研究発表大会が開かれ, 機関誌である“Evolution and Human Behavior”は近年高いImpact Factorを維持し, 行動科学, 生物医学系心理学, 生物医学系社会科学の研究をリードしています.

本学会は, 日本国内でも同様の研究を志す研究者たちのゆるやかな集まりです. 具体的にいえば, 日本ではまだ研究発表の機会が少なく研究交流の場がほとんどない, 進化人類学, 人間行動生態学, 進化心理学, 進化認知科学, 進化社会科学, 進化的実験経済学, 進化的神経科学, 進化ゲーム理論研究, 進化と倫理, 言語進化, 進化精神医学, 認識人類学等の領域で研究を行う人々の領域横断的, 学際的なつながりを目指す組織です. 本学会の前身の人間行動進化学研究会 (1999年設立) は, これまで9回の学術発表集会を重ね, 2008年6月には京都大学で, 第20回Human Behavior and Evolution Society大会を主催することになりました.

諸学問の細分化が進むなかで, 高水準の領域横断型学際学会の役割はますます重要になることでしょう. 進化理論, 適応論的人間観という, 強力な理論的基盤のもとに人間に関する諸学を束ねることは, グローバル化が進む人類の未来予測を行なう上でも, 不可欠な知的営みだと言えます. 志を一にする研究者の皆様の参加を期待する次第です.

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